応急危険度判定と罹災証明書のための被害認定調査は異なりますが建物の全壊判定についてはほぼ同じです。

地震災害等のときに話題になる応急危険度判定(被災建築物応急危険度判定)と罹災証明(り災証明)。
その違いが分からないという人が都道府県知事、市町村長をはじめとする地方公共団体の職員がいまだに多いことが問題となっています。
国会議員、また、地方議員の方にも是非、その違いを知った上で発言をして欲しいと大地震が起こる度に思っています。
今回、内閣府が罹災証明についてさらに迅速に発行できるようにというために基準を見直したということです。
もともと、応急危険度判定という注意喚起を促すためのステッカーと罹災証明書の発行という目的の違う調査であることから、その調査結果が別の調査の目的に使えるとは限らないのは当たり前の話です。
しかし、全壊の判定については、応急危険度判定が周囲への状況を含まないで、建物についてのみ見た場合でも全壊と判断できるようなものは、罹災証明においても全壊になるということです。
これは、これまでも現実的には罹災証明に使える応急危険度判定の全壊を明確に指針に位置づけたにすぎないのです。
誰が見ても倒壊しているようなものは当然、罹災証明でも判定結果は全壊となるということです。
逆に言えば、全壊以外の大規模半壊や半壊、一部損壊については従来通りの罹災証明の調査が必要ということでもあります。

今回の取り組みのように罹災証明の発行のスピードが上がれば上がるほど、応急危険度判定をする必要のある期間は短くなるということは明確に言えます。
応急危険度判定はあくまでボランティアが対応できる調査であり、調査結果についても罹災証明のように証明書としての効力は何もないなかで、罹災証明が発行された住宅について、改めて応急危険度判定をする必要はないのです。
罹災証明の発行の迅速化とは応急危険度判定活動の縮小を意味するのは間違いありません。

なお、地震の後に木造住宅で引き続き起こる地震で心配な場合は、2階で寝る、ことが命を守るために重要です。

参考)内閣府のHPより、
災害に係る住家の被害認定
http://www.bousai.go.jp/taisaku/unyou.html
概要は以下、
『住家の被害認定基準運用指針』・『実施体制の手引き』の改定の概要(平成30年3月)http://www.bousai.go.jp/taisaku/pdf/h3003kaitei.pdf

応急危険度判定(被災建築物応急危険度判定)などと罹災証明のための被害認定調査との違いは以下にまとめられています。
http://www.bousai.go.jp/taisaku/pdf/h3003shishin_1.pdf
以上より、抜粋すると。
9.被災建築物応急危険度判定・被災宅地危険度判定・被災度区分判定及び地震保険損害調査・共済損害調査との関係等
被災建築物応急危険度判定(応急危険度判定)・被災宅地危険度判定・被災度区分判定及び地震保険損害調査・共済損害調査は、災害による個々の住家の「被害の程度」を判定することを目的とした被害認定調査とは、その目的、判定の基準を異にするものであることから、被災者にこれらの判定・調査の混同が生じないよう、それぞれの判定・調査の実施主体が被災者に明確に説明することが重要である。
● 被災建築物応急危険度判定・被災宅地危険度判定・被災度区分判定
被災建築物応急危険度判定(応急危険度判定)は、大規模地震の直後に一般的に実施されるが、これは建築の専門家が余震等による被災建築物の倒壊危険性及び建築物の部分の落下の危険性等を判定し、その結果に基づいて当該建築物の当面の使用の可否について判定することにより、二次災害を防止することを目的とする。したがって、落下物の除去等、適切な応急措置が講じられれば判定が変更されることもあり得る。
すなわち、応急危険度判定で「危険」と判定された住家が、必ずしも「全壊」、「大規模半壊」又は「半壊」と認定されるとは限らない。
被災宅地危険度判定は、・・・「危険宅地」と判定された宅地に建てられている住家が、必ずしも「全壊」、「大規模半壊」又は「半壊」と認定されるとは限らない。
被災度区分判定は、・・・詳細な調査を行い特別な補修、補強等まで必要とするかどうかを判定しようとするものである。
● 地震保険損害調査・共済損害調査
地震保険損害調査は、・・・地震保険で「全損」、「大半損」又は「小半損」と認定された住家が、必ずしも「全壊」、「大規模半壊」又は「半壊」と認定されるとは限らない。
共済損害調査は、・・・共済損害調査の結果は必ずしも住家の被害認定調査の「全壊」、「大規模半壊」又は「半壊」の認定とは一致しない。
● 応急危険度判定の判定結果の活用
住家の被害認定調査を実施するに当たり、傾斜度など応急危険度判定に係る調査の内容と共通する部分もあることから、本運用指針による被害認定調査に先立ち、応急危険度判定が実施されている場合には、調査の目的等が異なることを踏まえた上でその内容を活用することも考えられる。
また、調査対象とする地域の設定、現地調査を行う又は行わない地域の設定、現地調査を行う地域の順番の決定等、被害認定調査の方針を決める際に、応急危険度判定の判定実施計画や判定結果を活用することが考えられる。
具体的には、平常時より地方公共団体の被害認定部局は、応急危険度判定部局と非常時の情報共有体制について検討し、必要に応じて、応急危険度判定部局が有する応急危険度判定の判定実施計画や判定結果(調査表や判定実施区域図等)を入手し、これらを活用して被害認定調査を実施することが考えられる。
さらに、応急危険度判定において「建築物全体又は一部の崩壊・落階」や「建築物全体又は一部の著しい傾斜」に該当することにより「一見して危険」と判定された住家、「建築物の1階の傾斜が1/20 超」と判定された住家(木造)、「建築物全体又は一部の傾斜が1/30 超」と判定された住家(鉄骨造)及び「不同沈下による建築物全体の傾斜が1/30 超」と判定された住家(鉄筋及び鉄骨鉄筋コンクリート造)のうち、調査表のコメント欄等で「建築物全体」が崩壊・落階又は著しく傾斜していることが確認できる場合には、この判定結果を参考にして「全壊」の被害認定を行うことも可能である。
このほか、調査する被災住家に応急危険度判定のステッカーが貼付されている場合には、被害認定の判定の参考にすることができる場合もあるため、その判定結果及びコメントを確認することとする。

参考)Yahoo!より、
罹災証明書交付を迅速化=住宅被害調査の指針改定―内閣府
3/23(金) 12:43配信 時事通信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180323-00000078-jij-pol
記事より、
・内閣府は23日、熊本地震の教訓を踏まえ、被災者に罹災証明書を迅速に交付できるよう、住宅の被害認定調査に関する指針を改定
・被害の少ない住宅については、申請当日の交付が可能となる。
・地震、豪雨など大規模な災害が発生した際、市町村は住宅の被害認定調査を実施。被害状況に応じて「全壊」「半壊」などと判定した後、罹災証明書を交付する。被災者は証明書に基づいて自治体から支援を受けることができる。調査では通常、住宅の目視や立ち入りを行っている。
・2016年4月に発生した熊本地震では、19万棟を超える住宅が全半壊、一部破損の被害を受けた。しかし、人手、ノウハウ不足で認定調査に時間がかかり、証明書発行の遅れにつながった。
・改定指針は、甚大な被害を受けて原形はとどめていないものの、明らかに全壊したと認定できる住宅に関しては、上空から撮影した航空写真の活用が可能と明記。また被害の少ない住宅については、被災者自身が撮影した写真で判定できるようにする。
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