ソフトストーリー、ウィークストーリーと呼ばれる問題は海外でも認識されています。

2階で寝ように!に通ずる話ですが、海外でも大地震で1階がぺしゃんこになるという問題は日本と同様に認識されています。
これは建築物という観点からは同じ物理現象が起こるということで、当たり前と言えば当たり前のことです。
それが、
ソフトストーリー  soft story
ウィークストーリー weak story
と呼ばれているものです。
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どちらも同じ意味で、やわらかい、弱い、つまり、十分な耐震性がない階についての問題を取り上げる際に、このような表現がとられており、建築デザインの面からは、フレキシブルストーリー(flexible story)やオープンフロアー(open floor)と呼ばれるように、開口部が大きく、あまり壁がない建物の1階部分のことです。
参考)www.iitk.ac.inより、
“Soft Story”and“Weak Story”in Earthquake Resistant Design:A Multidisciplinary Approach
L. Teresa Guevara-Perez
http://www.iitk.ac.in/nicee/wcee/article/WCEE2012_0183.pdf
この資料には、図が多く掲載されているので、1階に商業施設や駐車場としている現代的な木造のアパートの地震での弱さが改めて確認できます。
1920年ごろに建築された木造や構造壁となっていないコンクリートでつくられたこのタイプの建物は地震に弱いために、耐震補強することが必要だとされています。
もちろん、1階が真っ先に壊れるというのが典型的な壊れ方です。
なぜ、1階が壊れやすいのかということについても、このペーパーでは説明されているように、一番下の階にその上のすべての階に係る横向きの地震力が合計の力として掛かってしまうからです。
これは構造の専門家なら常識(専門家でなくても分かりますが)であり、1階が一番大地震では厳しいのです。
海外でも1920年に建てられたような古い建物は十分な構造設計がされていないものが多くあるようで、そのため、ただでさえ大地震時には問題のある1階が全く大地震に耐えられないレベルでつくられているものが多いようです。
ただ、こうした建物は1階が店舗や駐車場ということもあり、あまり、そこに人が日常的に寝泊りすることはない、ということでもあり、日本の木造住宅や木造2階建てアパートのような大地震時での死の危険性は低いのです。
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日本は、まさに、一番大地震時には危ない木造の1階に寝ているというケースが未だに多いため、基本的には2階で寝るということを、特に古い木造住宅や木造アパートでは実践をする必要があるのです。
もちろん、大地震に充分耐えられるように耐震改修をするという解決方法はあります。
ただ、すべての古い木造住宅、木造アパートが耐震改修できるか?仮にできたとしてどれだけの歳月がかかるのか?という意味では、今すぐできる1階では寝ない、2階で寝る、ということが現実的な対応となるのです。
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2階で寝よう!

とてもシンプルな考え方で、その原理は日本だけではなく世界共通です。


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