PDFで誰でも見ることが可能で、2018年3月21日付のプレゼンテーション資料は日本の耐震改修を考える上でも参考になります。
ターゲットは、木造のソフトストーリー(soft-story)です。
WOOD FRAME SOFT-STORY RETROFIT PROGRAM
CACP Presentation
March 21, 2018
Soft-Story Retrofit Unit
City of Los Angeles
Department of Building and Safety
https://cacpla.org/sites/cacpla.org/files/resources/Create%20Resources/ss_presentation_cacp_-_2018.3.22.pdf
ここにある、過去のロサンジェルスにおける地震被害の写真を見ていただくと、建物の被害の様子は日本と同じだと感じていただけるのではないでしょうか?
この資料の良い所は、ソフトストーリー(soft-story)と崩壊した階に着目しているところです。
そうした柔らかで弱い1階を有する建物をソフトストーリービルディング(soft-story-building)と呼んでいます。
どういうタイプかと言えば、1階に駐車場がある、ピロティになっている(駐車場利用ですね)、2階が片持ち梁(カンチレバー)により支えられオーバーハング(1階よりも2階以上が飛び出ている)している、といった建物のことです。
大地震で被害があるのは、ほぼ間違いなく1階がソフトストーリービルディングなのです。
従って、対策はソフトストーリー=1階のレトロフィット(耐震改修)なのです。
日本でも1階に着目して耐震対策を進めるには、このように1階のソフトストーリー対策をしましょう!というのが分かりやすいかもしません。
ロサンジェルスでは1978年1月1日に耐震基準が改められたようで、これ以前の建物の耐震改修が必要とされています。
取組みは日本と同様で、耐震診断をして、耐震改修の方針を行政に提出、それが認められればOKということで、対応方向としては、耐震改修をする、そのまま使う、除却するという選択肢があるようです。
日本では耐震化はあくまでお願いということで、個別の建物の耐震改修の方針について、〇×を付けるということはしませんので、ロサンジェルスは日本よりも厳しい取り組みをしていると言えます。
日本との違いは、日本の場合は、新耐震(1981年基準)以前に建てられたか否かという年代だけの基準で耐震診断をすることとされていますが、ロサンジェルスの場合は、1978年以前、かつ、Soft(Weak,Open Front Wall)ストーリーがある建物と限定を掛けているところです。
ソフトストーリービルディング、つまり、1階の開口部の多い建物で、かつ、1978年以前建築のものと限定しています。
なお、市の命令に従わない場合は、罰金もあるようです。
ただ、耐震改修がすごく進んでいるか?といえば、そうでもないようで、2018年という期限を設けた取組みのようですが、まだまだ、耐震改修がされていないものが沢山残っているようです。
このあたりは日本でも同様であり、なかなか既存の建物の耐震改修を促すのはアメリカも難しいということのようです。
ソフトストーリービルディングという表現、直感的な感じがして、ちょっといいかもしれません。
日本では旧耐震の建物と言われ建物全体にしか目が行きませんが、ソフトストーリービルディングと言えば、1階がソフトなままの旧耐震の建物が危ないということで、危ない建物と、危ない場所に目が行くというところが表現の仕方として優れています。
なお、日本の木造住宅というのは、古い建物は基本的に木造軸組みであり、1階は特に玄関や大きな窓があり、まさに、ソフトストーリービルディングなのです。

もし、まだ耐震性が分からない木造住宅、木造アパートで1階に寝ているであれば、耐震改修も大切ですが、大地震で命を落とさないために、今すぐ、
2階で寝よう!
と最後にいつものフレーズで締めておきます。
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