以下、リーフレット「誰でもできるわが家の耐震診断」というページです。
http://www.kenchiku-bosai.or.jp/seismic/kodate/wooden_wagaya.html
なお、英語バージョンもあります。
Simplified Seismic Evaluation of Wooden Houses for House Owners and Residents(English version)
http://www.kenchiku-bosai.or.jp/files/2015/10/wagaya-e02.pdf
英語バージョンは日本のパンフレットと異なり、明確に「木造住宅の耐震診断法」と書かれており、地震で木造住宅が潰れるということが問題であることが、より鮮明に分かります。
ちょっと名前が変なのですが、このページには、
リーフレットのほかに、インターネットでできる 「誰でもできるわが家の耐震診断」というものも用意されています。
リーフレットやパソコンで簡単に無料で木造住宅の耐震診断ができるというものです。
ただし、注意をしたいのはこの診断をするには、自宅の建築確認申請書など自宅の図面と建築年数といった資料が必用なのです。
耐震診断を行うには簡単な方法でも、建築年、家の図面、どこにしっかりとした壁があるのか、過去の災害履歴、傷み具合といったことが分からないと診断はできないからです。これらの情報、図面などの資料を集める段階でおそらく専門家である大工さんや工務店などに相談をする必要がでてくるでしょう。
診断には、それぞれの質問に答えていくだけで結果がでるのはよいのですが、「よく分からない」を一つでも選ぶとアウトの結果「専門家に診てもらいましょう」になるのです。
ですから、十分な資料がない段階で「よく分からない」を選択しなくてはいけない状況では、診断の結果をもって耐震性について判断することはできないのです。
もっとも、すべてベストな選択肢を選んで10点満点となったとしても、「ひとまず安心ですが、念のために専門家に診てもらいましょう」となりますので、結局「誰でもできるわが家の耐震診断」のリーフレットは基本的に耐震性を判断するために必要な書類を集め、建築士などの専門家に相談をしてもらいましょうというメッセージに重きが置かれているもののようです。
まさに、耐震診断は安全側に診る、という思想だということがよく分かるのですが、実はこの「誰でもできるわが家の耐震診断」の最初の問いは、「建てたのは1981年6月以降なのかどうか」であり、これは新耐震以降の基準で建てられたかどうかを問う非常に重要な項目です。耐震診断の費用を補助してくれる自治体もありますが、ほとんどの自治体では、第一の条件として1981年(昭和56年)6月以前に建築されたものが条件となっており、それ以降の場合は一律問題なしとされ耐震診断の費用の補助さえないのです。
1981年(昭和56年)6月以降に建築した木造住宅であれば耐震化率などを算定する上では単純に耐震性ありの住宅と単純に考えて構わないのです。
以下に質問でとられている項目を見てみます。
1 建てたのはいつ頃ですか? ―1981年(昭和56)年6月以降なら〇
2 いままでに大きな災害に見舞われたことはありますか? -住宅自体に損傷を受けていなければ〇
3 増築について ―建築確認をとって増築をしていれば〇
4 傷み具合や補修・改修について ―適正な管理をしていれば〇
5 建物の平面はどのような形ですか?(1階の平面形状に着目します※)―長方形なら〇
※ 1階が大事だということです。2階はそもそも安全なのでチェックする必要がないのです。
6 大きな吹き抜けがありますか?―一辺が4mを超えなければ〇
7 1階と2階の壁面が一致しますか?―層二階など単純な2階建てなら〇
8 壁の配置はバランスがとれていますか?(1階部分の外壁に着目します※)―特別開放的でなければ〇
※ 1階が大事だということです。2階はそもそも安全なのでチェックする必要がないのです。
9 屋根ふき材と壁の多さは?-普通は〇として構いません。(問題があればは5から8でチェックされる)
10 どのような基礎ですか?―鉄筋コンクリートの基礎、ベタ基礎等なら〇
以上の10項目、素人では難しく、誰でもできるというレベルのモノではありませんが以上の観点で眺めていただければと思います。
1で〇の場合、つまり新耐震以降の木造住宅の場合は参考までにこういう観点で専門家はチェックするのかと眺めていただければそれで充分です。
タイトルは誰でもできる・・・なのですが、実際には問いに答えること自体に専門家のアドバイスが必用です。
〇耐震診断以降の流れのイメージ(耐震診断しない場合は耐震診断結果×と考えます)
1981年6月以降、つまり、新耐震以降の基準で建築された住宅については「ひとまず安心」と考えるのが一般的ですが、それでも心配という方は「2階で寝よう!」ということをおすすめします。
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