神戸新聞が阪神・淡路大震災から23年を迎え、2015年、つまり震災から20年を迎えた際に示した「6つの提言」についてのその後どうなったかについて検証する記事がありました。
神戸新聞の「6つの提言」の一つに「住宅の耐震改修義務化を」というものがあります。
参考)神戸新聞
神戸新聞社から6つの提言
https://www.kobe-np.co.jp/rentoku/sinsai/teigen/
問題として取り上げられているのは、耐震改修の目標達成がなされていないということです。
記事では耐震化の必要性を説き、そのためにはやはり提言にあるように住宅の耐震改修を義務化をすべきで、義務化していないから耐震化は進まないという主張です。
もちろん、耐震化が進めば大地震があっても安心できます。
大地震を受けた兵庫県の耐震化率の実績は全国よりは高い数字ですがそれでも85%程度です。
阪神・淡路大震災の甚大な被害を受けた兵庫県でさえ目標はなかなか達成できないのは、このブログでも繰り返し書いてきたように、お金が無いからに尽きます。
当然のことながらお金がなければ耐震改修工事はできません。
これまで行政が23年間も補助金や税制優遇などの支援策を用意しながら耐震改修を促してきたにもかかわらず今も耐震改修に取り組むことができない、しない人がいるということは、高齢化の進展を考えれば、もはや設定した目標はとても達成し得ないと考える必要のある時期です。
耐震性が低く耐震改修をする必要があるものの耐震改修をするためのお金はないため何もできない。
こういうデッドロック状態なのです。
ブレークスルーの方法は「2階で寝る」ことです。
耐震改修工事というのはお金の負担は自らするかもしれませんが、自ら工事をするわけではありません。
一方の「2階で寝る」というのは自分自身でできる行動です。自分で寝る場所を変える。1階から2階に変えるという行動です。
震災から23年という月日が流れ、耐震改修工事の費用を負担できない高齢者などの人に対して、具体的かつ現実的な提案をする時期なのだと強く感じます。
阪神・淡路大震災での建物被害、つまり、1階がぺしゃんこになるというのを見て、その結果、導き出される対処方法、それが、古い木造住宅は「2階に寝る」ということなのです。
もちろん、耐震化の推進を諦めてしまっていいというわけではありませんが、死ぬまではそのままでよいから、死んだら今の家は壊してくれればいいという人も実際に居るのです。
そうした状態でも命を守る行動としての「2階に寝る」「2階で寝る」ことは実行可能なのです。
古い2階建ての木造住宅にお住いであれば、直ぐに、無料で、誰でもできる「2階で寝る」という行動の普及を図っていくことが、建築の耐震化促進を訴える専門家が、大地震時に人命を守る取り組みとして最初に行うべきことなのです。
参考)神戸新聞より、
2018/1/19 11:20神戸新聞NEXT
阪神・淡路大震災23年 神戸新聞社6つの提言検証<下>
https://www.kobe-np.co.jp/news/bousai/201801/0010910756.shtml
記事より、
・神戸新聞社が2015年1月に示した「6つの提言」の一つ、「住宅の耐震改修義務化を」。これは2013年に目標設定していた県内90%弱だったものが兵庫県で概ね85%(全国82%)
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