木耐協が『81-00木造住宅』の耐震性に関する木耐協調査データを発表(平成30年1月17日付)。

木耐協こと日本木造住宅耐震補強事業者協同組合が、
平成30年1月17日付で、Webで『81-00木造住宅』の耐震性に関する木耐協調査データの発表
http://www.mokutaikyo.com/dcms_media/other/tyousa_1801.pdf
として調査結果を公表しています。
『81-00木造住宅』(はちいちゼロゼロと読むらしい)というのは聞きなれない言葉ですが、木耐協のこの調査においては、
・昭和56年(1981年)から平成12年(2000年)に建築された在来軸組構法の住宅
ということです。
この調査のポイントは、昭和56年(1981年)以降の建築の木造住宅でも耐震性は5%~50%程度ということです。

えっ?新耐震基準後の昭和56円6月以降は耐震性は100%問題なしではないのか?何故か?

それは既存木造住宅の耐震診断の方法、ここでは一般診断法、にあるのです。
端的に言えば、耐震診断の基準が新耐震の基準よりも高い、ということなのです。
従って、結論としては、基本的に新耐震以降の木造住宅であれば大地震時に対して基本的な耐震性能はあると言えるのです。

木造住宅の耐震診断の目安は昭和56年の新耐震基準や2000年基準だけではありません!
2017年05月26日

http://www.耐震.top/article/450240127.html
で紹介したように、
〇壁率計算では、
・壁率の変遷 cm/㎡
木造2階建て(総二階)重い屋根のケース
                  1階  2階  1階部分についての変遷
1981年(昭和56年)      33  21  
2000年(平成12年)(変更なし)33  21  ↓ 1.4倍 ※1
2001年(平成13年)(品確法) 46  28         ※2
※1 2000年の建築基準法改正では壁率計算の数字自体の変更はなく、金物などの使用を明確化したのみ。
※2 2001年は建築基準法ではなく、品確法の数値(品確法の等級1は基準法並みとされるが、実際には最新の建築基準法の最低基準の1.4倍)。

ということで、基本的に現在の耐震診断の基準は実は昭和56年の新耐震基準ではなく、平成12年基準でもなく、平静年の品確法の基準なのです。
さらに、細かい違いとしては、2階の面積を捉えるときに見上げで2階の重さを捉える(基準方では見下げで面積を捉える)という違いもあり、少なくとも1.4倍の基準で見ているという事情があるのです。

なにより大切なことは、やはり昭和56年6月より前に建築確認をした木造住宅は耐震性が明らかに劣るということです。
そもそも、住宅の耐震診断をしている住宅の数はごく僅かですから、基本的に古い木造住宅について分かることは、この建築確認の時期程度しか分からないのです。
しかし、昭和56年ということで被害に差があるという結果から、昭和56年6月以降と以前では耐震性に差があるということには変わらず意味があるのです。詳しく調べて、つまり、耐震診断をして1.0をクリアしないからダメということではないのです。

熊本地震の教訓は木造住宅は大地震で倒壊するが非木造はなかなか倒壊しないということです
2017年04月12日

http://www.耐震.top/article/448952147.html

ここで紹介したグラフにあるとおり昭和56年建築(確認申請したもの)という見分け方で十分なのです。
厳密には建物ごとに耐震性能は異なりますが、昭和56年より前に建築したものより明らかに大地震時には安全性が高いということは言えるのです。
建物の強さというのはこうした数字と合わせて間取りの具合やどのように構造を考えて設計しているかというのが大きなポイントです。
『81-00((はちいちゼロゼロ))木造住宅』なんて気にする必要はなく、単純に1981年6月(新耐震施行)以降に確認申請をしているかどうかをチェックすればいいのです。

もし、昭和56年6月以降の新耐震基準の木造住宅でも心配であれば、
2階に寝る
ことから始めてみてはいかがでしょうか?
耐震診断や耐震改修を考えるのはその後で十分に間に合います。
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