垂直避難は2階で寝よう!と同じことです。

大雨が続いて被害が西日本以西で相次いでいます。
こうした中で、垂直避難、という言葉がニュースや気象庁などからも語られるようになっています。
大雨による浸水は当然ながら下から水が上がってきます(屋根が台風などで飛ばされて雨漏りが生じるということももちろんありますが)。
従って、特に夜間、1階で寝ていて浸水してくるということがあるとパニックになることは必至です。2階に寝ていれば時間的な余裕が取れることは確かです。もっとも、2階まで浸水するというリスクはなおあります。
また、土砂災害に関しても土砂が流れてくるのは下から地面からなので、当然1階よりも2階の方が安全です。
垂直避難は確かに、最後の手段と言うべきなのは避難するのがベスト、100点満点だからなのですが、現実には、ほとんどの人は避難をしません。
何百万人に昔でいうところの避難勧告をしたとしても、その場から避難をする人はごく僅か。
また、避難をするにしても十分な余裕を持って避難をする人はごく僅かで、水が押し寄せてきてから避難や夜間での避難は却って危険な可能性もあるのです。
その意味では、2階で寝るということを習慣としておくことは、一般的に災害で命を守る行動を日頃から取っているということが言えると思います。
地震にも大雨にも土砂災害にも、2階で寝よう!、これだけを覚えておいて、かつ、実践していただくだけで災害への事前の対応ができるのです。

以下、最近のニュースで「垂直避難」について言及されているものをいくつか示します。ご参考まで。

Yahoo!より、
土砂災害の前兆現象とは?避難のポイント 夜間で危険な場合は自宅の垂直避難も有効<福島県>
8/14(土) 19:10配信
福島テレビ
https://news.yahoo.co.jp/articles/d297c85d3168b982a979cb679bf366b572b8110d
記事より、
<土砂災害の前兆現象>
・斜面のひび割れ
・小石が落ちてくる
・異様な音やにおい
・がけから水が吹き出す

近くに斜面がある家は2階の反対側で過ごすなど警戒が必要。

自分のいる場所が土砂災害警戒区域や浸水想定区域になっていないかハザードマップで確認するなど、避難の準備をしておくことが大切。

避難所に行くことだけが避難ではなく、夜間で移動が危険な場合は自宅のできる限り高い場所へ避難する垂直避難も有効。

自治体からの避難指示がなくても危険が迫ったときは早めの避難を。


同じくYahoo!より、
避難の大切さ浮き彫り 土砂崩れ相次いだ広島市内で人的被害なし 垂直避難のケースも
8/15(日) 20:39配信
中国新聞デジタル
https://news.yahoo.co.jp/articles/0a13e2edea624b9e80b2a4a122da107899c8d2e8
記事より、
 一時大雨特別警報が出され、記録的な大雨に見舞われた広島市では15日未明までに、山際の住宅地で民家を巻き込む土砂崩れが相次いだ。市内では2014年の広島土砂災害、18年の西日本豪雨で多くの人が逃げ遅れ、土砂災害の犠牲になった。今回、被災した住民は事前に避難するなどして人的被害はなく、避難の大切さをあらためて浮き彫りにした。

 14日夜から15日未明にかけて、西区の田方と、約3キロ離れた己斐上で裏山やのり面が崩れ、それぞれ複数の民家に土砂が押し寄せた。「怖かったから、早く逃げていて助かった」と田方の自宅が被災した相原満江さん(77)。雨が激しくなってきた14日昼に近くの古田台小に避難していた。土砂災害警戒区域にある両地域では、事前に逃げていた人が多かったという。

 安佐南区伴中央でも14日昼、裏山が崩れて民家に土砂が流れ込んだが、住民3人は既に避難していた。

 災害の発生直前に自宅やマンションなどの上の階に逃げる「垂直避難」をしたケースもあった。市消防局や安佐南署によると、14日昼に土砂崩れが起きた安佐南区山本では、住宅の2階に上がっていた住民もいた。

 広島経済大の松井一洋名誉教授(災害情報論)は「民家での垂直避難は建物自体が土砂などで崩壊する危険性がある。周囲の状況などから安全な場所へ避難できない場合の最終手段だと考えてほしい」と強調する。

 広島県によると、14日午後3時時点で、県民の3分の2に当たる約176万人を対象に「避難指示」や「緊急安全確保」などの避難情報が出された。しかし、市町が開設した避難所に身を寄せたのは、わずか2449人(0・1%)。対象者に占める避難者の割合は、今年7月の大雨被害時と同じだった。ただ知人方やホテル、車内で過ごした人もおり、避難の実態はつかみにくい。

 静岡大防災総合センターの牛山素行教授(災害情報学)が1999~2018年の風水害を対象にまとめた調査では、土砂災害の死者と行方不明者計580人のうち、屋内で犠牲になったケースが約8割を占めていた。

 停滞する前線の影響で、わずかな雨でも土砂災害や川の氾濫が起きやすい状況が続く。松井名誉教授は「避難の基本は早めの行動。特に危険な場所では、避難情報が出たらすぐに安全な場所へ逃げて」と呼び掛ける。


これについては、おそらくだが、牛山先生のデータで屋内で犠牲になったケースの約8割のほとんどは1階ということではないかと考えます。
なお、熊本地震については、このことを警察庁が調査をしており大地震では1階で就寝することが2階で就寝するよりも危険だということが示されています。
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