2000年以前の住宅の耐震化は進める必要があるのか?

令和6年能登半島地震現地調査等オンライン速報会が2024年1月17日に開催された。
接合部に金物のない建物は震度7クラスの揺れにはやはり耐えられない、というのが森先生が語ったことだ。
この報告会は、
2024.01.15
令和6年能登半島地震現地調査等オンライン速報会

https://www.ehime-u.ac.jp/data_event/ev_20240115_dmi/

として行われたもの。これを最初から最後まで聞いたが、
別に2000年の基準を強調した訳ではなく、むしろ、新耐震(1981年以降の建築)とそれ以前では全壊とそれ以外で差があったという説明だった。
マスコミはどうしても2000年基準以前は問題ありと言いたいようだが、明らかに全壊か否かの分かれ目は1981年の新耐震基準以降か以前かの違いだ。
わざわざ2000年基準について取り上げて、2000年基準で診断して耐震改修が必要な建物を今以上に増やす理由はない。
ただ、能登の住宅は古い継ぎ手が使われており、それが丈夫だとされていたが、今回のような震度7レベルには耐えられないので金物で接合部を接合する必要があると述べたに過ぎない。
耐震改修をする際には当然金物は使う。耐震改修の際には2000年基準でというのであれば分かる。
マスコミは1981年以前だけでなく2000年以前に作られた木造住宅も耐震性低いので対策が必要だというストーリーを持っているが、それは思い込みに過ぎず、統計的に明確に有意なのは1981年以前か否かだ。
そして、2000年基準以前を耐震診断が必要な戸数に追加して、本当に耐震診断が必要な1981年以前の耐震診断にお金、人手が回らなくなることを避ける必要がある。もちろん、民間で独自に勝手にやるにはいいが、国の金を投じるには順番がある。
マスコミの記者のほとんどは文系。統計など分からないし、建築の構造なんて全くわからないのだ。
ミスリードする記事を量産するのはそのため。
マスコミがすでにフェイクニュースという笑えない状況。
ちなみに震度7で住宅が壊れるのは想定内だ。
今回は震度7。
そして震度7というのは日本独自の基準だが震度7が最高の値。
今回、マグニチュード7.6で震度7だが、東日本大震災はマグニチュード9.0でも震度7。そういう指標だ。
もし、このレベルの地震に耐える家を作るということであれば、通常のレベルである建築基準法である最低基準を改める必要があるが、それは経済的には合理的ではない。
もちろん、消費者が震度7にも耐え得る住宅をということであれば、住宅性能表示の耐震基準の等級3を選べばいいだけ。
それは最低限の基準である建築基準法が改めるということではない。
むしろ、この報告会で面白かったのは、輪島市の門前町の伝建地区で、多くの古い建物が倒れた中で、その地区の会長の家が壊れていなかったという話。そして、会長曰く、2007年の能登半島地震の後は建物を直した、のだが、後で不安になって耐震改修をした。そのおかげで今回被害はなかったが、(耐震改修をしなかった)修理をした住宅は倒壊してしまった。ということ。
耐震改修の有無が住宅の倒壊に大きく影響したということ。
そして、全壊する住宅というのは多くは手抜き工事がされているというのは過去の災害で多く見られる。
つまり、被害の状態を個別にきちんと調査しないときちんとしたことは言えない。
本当に大事なことが伝えられないマスコミは害でしかない。

Yahoo!より、
「接合部に金属ない建物は揺れに耐えられない」と専門家が指摘 能登半島地震現地調査
1/18(木) 21:41配信
テレビ朝日系(ANN)
https://news.yahoo.co.jp/articles/a78c699e6413f5979547b7254f0292a5059b0b5e

記事より、
能登半島地震で建物が倒れた状況を現地で調べた地震工学の専門家が、「最新の耐震基準を取り入れた作りでない建物が多く倒れていた」とする見方を明らかにしました。

愛媛大学 森伸一郎特定教授
「私が見た範囲では少なくとも接合金物が付いていて、倒れたものはなかった。『2000年基準』以降ではないし、1981年の新耐震基準を積極的に取り入れた設計施工でないと理解できる。接合金物がないと震度6強や7の揺れに耐えられないとはっきり分かった」

 愛媛大学の森伸一郎特定教授は17日、強い揺れに備えるには、柱や梁(はり)といった部材を金属の部品も使ってつなぎ合わせるなど、「2000年以降の耐震基準」を満たすべきだと訴えました。

この記事へのコメント


この記事へのトラックバック
スポンサーリンク